オイルポンプの破損
スバル360のオイルポンプのオーバーホールを受けますと、たまに内部破損しているものがあります。
内部の故障で最も多いのが、プランジャというオイルをくみ出す横回転軸の破損です。
オイルポンプの本体は亜鉛系ダイキャストなのですが、これが回転するプランジャを締め付ける形で経年劣化していきます。その経年劣化が進行しますと‥
エンジン動力をプランジャに伝える部分のギアがえぐれてしまうのです!
内部固着よりもエンジンの回転力のほうが強いのですね。恐ろしいことに、これが起きても運転中のドライバーはほぼ感じ取ることができません。 そのままではすぐエンジンブローでしょう。
もちろんプランジャも縦軸のドライビングウォームも修理不可能。
(ちなみにこの状態ですと縦軸は指で回りますから、ポンプ単体で良品だと勘違いするケースがあります‥。)
こうなる前にオイルポンプのオーバーホールを実施して、本体内径をホーニングして広げてやる必要性があるんですね。
次に多いのが‥
前オーバーホール作業者による、ヒューマンエラーです。
作業時に正確な位置出しや確認をせずにプランジャガイド(ボルト)を締めこんだ例。 プランジャガイドがプランジャを傷つけています。 これが意外と少なくありません。 当店でも過去に「オイルポンプオーバーホールキット」を販売していたのですが、それを中止した理由の一つでもあります。
このままこのプランジャを使用しますとおそらくすぐに新しいプランジャガイドが削られていくでしょう。すぐに吐出量が落ちるのは必至です。
プランジャを溶接・再切削修理できなくはないのですが、コストがかかる割に信頼性が未知数ですからお勧めはできません。
エンジンにポンプを取り付けたままプランジャガイドを抜くことは絶対にしないでくださいね。
内部破損していますと部品交換が必要になるのですが、スバル360のオイルポンプには種類が多く存在していまして、互換部品を用意するのもままなりません。
(余談ですが、過去に1度だけ、M8のプランジャガイドを持つポンプを見たこともありました‥切削法、本体座面形状からして正規品! 通常はM6。)
こうなってしまっているポンプは基本的にアッセンブリ交換を推奨しています。
手を入れた覚えがないオイルポンプは一度メンテナンスされたほうがいいでしょう。 転ばぬ先の杖ですよ。